現行"日本国憲法"と"日本国憲法改正草案"(前文)
現行の"日本国憲法"と"日本国憲法改正草案" の前文はどのくらい違いがあるのか気になったので調べてみました。草案では全面改定された部分なので殆ど違うでしょうが😅
この"日本国憲法改定草案"(※以下、自民党草案)は平成24年4月27日に自由民主党(自民党)が出したものです。これは現行の憲法と草案を照らし合わせる形で書かれています。リンクは以下の通りです。
https://jimin.jp-east-2.os.cloud.nifty.com/pdf/news/policy/130250_1.pdf
(日本国憲法/前文)※ポイントと思われる所は太字
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
(http://www.houko.com/00/01/S21/000.HTM より引用)
(自民党草案/前文)※あれれ?ポイントは下線
日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。
我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。
日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。
我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。
日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する。
【読んでみての感想&突っ込み】
現行の日本国憲法に関しては、研究もたくさんされていますし今ここで言うことはありません。"自民党草案"については…なんだこのざっくり感!!!という感じです(笑)突っ込みどころは結構あるのですが、全てにアンダーライン引くことになってしまうので少し控えめにしました(笑)
(以下、突っ込みです↓)
1.日本国は" … おお、来たぞ!国民そっちのけで先に国の説明!
2.国民統合の象徴である天皇を戴く国家...
「戴く」という表現に引っかかる。む???この漢字はどうやら「頭の上にのせる」「うやうやしく上にささげて持つ」という意味があるらしい。重々しく、うやうやしいニュアンスを出そうとして使ったんだろうけど。用例として「主君として戴く」があるように「上のものとして敬い仕える」という意味もある。解釈によっては、なんだか色々とまずくないですか?
3.国民主権…ざっくりしすぎ!!やっぱりここでも国民が置いてけぼりな感じがする。
4.先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展...大戦の荒廃は確かに乗り越えて発展したね。(負け戦ふっかけたの誰だよ、と言いたいけど)高度経済成長あったもんね。ただ…幾多の大災害は乗り越えたというのは言い過ぎではないか?東日本大地震の復興も途上だし、そのほかにも地震、洪水、台風被害など解決してないものが盛りだくさん。
5.今や国際社会において重要な地位を占めており...
果たしてそう言い切れるか?最近の国際情勢見てると、日本の仲間はずれ感ハンパないけど?
6. 日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。
→つっこみどころたくさんあるんですが…。まず、主語が"日本国民"って。簡単にまとめるとこんな感じ。
〜国民自身がやるべきこと〜
①国と国土を気概を持って自ら守る
→国(政府)は国民を守らない可能性
②基本的人権を尊重
→つまり、国家は国民の基本的人権を守らない可能性
③和を尊ぶ
④家族や社会全体が助け合う
→この2つについては、家族構成も昔と違うし、ギスギスしまくりの現代社会においては無理だろ…と思う。フェイクとしてならすぐにできるだろうけど。
はい???国民やること多くないですか?現行の日本国憲法にあるような国政に関することは全部スルー嘘でしょ…。特に②が酷い。国民一人ひとりがやるべきことではないと思うのですが。なんか混同してませんかね…これ。1番不安な箇所。
7.教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。→教育&科学技術の振興?ムリだよ。そもそも大学を職業訓練校みたいにしようとしてる時点でムリ。活力ある経済活動?どこが一体活力あるのか教えてください。消費税増税は活力どころか活力低下しちゃうと思うんだけどな…。
なんだか不安しかない草案だな…と思った。削ぎすぎて大事な部分まで削ぎ落としてしまった感じがする。国家に関することは何一つ書かれてないし、日本国民に丸投げだし。究極の自己責任論が根底にあるような気がする。要するに"国民自分たちでぜーんぶ解決してね、あとは何が起こってもしーらない" とでも言われているかのよう。文字数が多くなるから感想程度しか書いてないけど、前文でこれだけ問題点があるのだから他の部分も恐らくそうなんだろうな。ため息。
また時間があるときに更新します💡